●キンラン(写真左)
キンラン ギンラン かつて、妻は教え子の結婚式に出席する時、それが5月の連休の頃ならキンランの小さなブー ケを 作って持っていくことにしていた。いま思うと随分ぜいたくな話ではあるが、10数年前まで この 辺の林にはそれほど沢山のキンランが咲いていたということである。ただし、この時は必ず 下の葉 を2〜3枚残して花だけを切り取るようにして株を枯らせないようにしていた。キンランはラン科 の花としては珍しく黄金色で、総状花序の花は全開しないため、独自の気品をもっている。群生は つくらないが、林や薮の中などに草丈30〜50cm位になり、花の時期には大変目立つ存在である。 そのため、根ごと掘り取られてしまう事が多く、この辺ではほとんどみられなくなってしまった。 また、最近は宅地やゴルフ場の造成などでキンランの育成する雑木林が急激に減少しており、この まま行けばブーケどころか1輪差しにもさせない幻の花になってしまうかも知れない。

●ギンラン(写真右)
更科町の山林にキンランの写真を撮りに入った時、シラカシの下で小規模な群落を見つけた。薄暗 い所なので三脚を立てて木洩れ日があたるのを待って撮影した。キンランに比べるとかなり小さく 目立たないが、その清楚な美しさに心を引かれる。


●レンリソウ
レンリソウ 10年以上前のことになるが、石川茂雄先生を千葉市若葉区の小間子(おまご)から富田の沢沿いに はじめて案内した時の事である。先に小川を渡られた先生が土手の上で歓声をあげられた。私も急い でその土手に登ってみて驚いた。紫がかったピンクの花が一面に咲いていたのである。これが私にと ってレンリソウとの初めての出会いであった。私達はここを「レンリソウの丘」と名付け、毎年この 場所に写真を撮りに行くことにしている。そして今年も5月の日曜日にカメラを持って出掛けたが、 この辺りの一帯の土手はきれいに草刈りが済んだところで、レンリソウもすっかり刈り払われてしま い、花を見ることはできなかったがっかりしていたが、同じ自然観察指導員の盛一さんが加曽利貝塚 の草原にレンリソウがたくさん咲いていると知らせてくれた。ここでは、毎年やっている草刈りを一 部中止してもらったそうである。かつて、レンリソウが見られた四街道の草原も最近は宅地になって しまうなど、次第にその自生地が少なくなっているのは残念なことである。


●トキソウ
トキソウ トキソウの名は「朱鷺草」で、白いサギソウに対して花の色がトキ色そなわち淡い桃色をしているこ とによる。毎年、ミズバショウの時期に群馬県の尾瀬に出かけるが、そこで高層湿原にトキソウが咲 いているのを見ているので、トキソウは高山植物と思っていた。しかし、成東の湿原で見事な群生を 見て認識を新たにした。千葉県内の湿地には数多く育成していたらしいが、現在ではトキソウの育成 できる湿地が次々に開発され、国の天然記念物に指定された成東の湿原が県内では最後の自生地とな ってしまったようである。しかし、成東の湿原も回りの開発の影響で乾燥化が進んでおり、湿地性の 植物が育成しにくい状況になってきていると聞く。いろいろと困難な状況の中、ボランティアで湿原 を守っている地元の方々の努力やご苦労には頭の下がる思いがする。


●カザグルマ
カザグルマ 10年近く前のことであるが、小川の土手でスズサイコの芽立ちを撮影しているところへ、山菜採りの 男の人が立寄って話かけてきた。少し下流で大きな白い花が咲いているが、なんという花だろうかとい う。私はピンときた。カザグルマかも知れない。持っていた図鑑でカザグルマのところを開いて見せる と、間違いないという。私は胸が高鳴るのを覚えた。栃木県の那須山麓で小・中学生の時代をすごした 私にとって、川岸に咲いていた純白のカザグルマの花は鮮明な思い出として残っている千葉県では、植 物写真家の安原修次氏が船橋市で撮影しているが、私は千葉で見たことはなかった。早速、三脚を片付 けて教えられた場所に行ってみると、純白の花が数輪咲いているではないか。更に探し歩いたところ、 10カ所ほど開花しているのを見つけることができた。地元ではヤマテッセンと呼ばれている。カザグ ルマは高いところにつるを伸ばし、上を向いて咲くので、なかなか写真に撮りにくい。この写真はすぐ そばにあったニガキの木に登って写したものである。


●サギソウ
サギソウ 小学生の頃、栃木県の夕狩というところの湿原に真っ白い花が咲いており、その花の形から、サギソウの 名が付いたと父に教わったのを覚えている。まわりが細かく切れ込んだ左右対称の羽を思わせる側裂片、 しかも長く伸ばした鳥の頭の部分もある。本当に白鷺が羽を広げて飛んでいるようなその姿に自然の造形 の神秘さを感じさせる花である。那須山麓の小学校に勤めていた兄が近くの湿原で採集したサギソウを栽 培して増やしたものを一鉢分けてもらい、現在、水苔で栽培しているが毎年増えて、我が家でもたくさん 花を咲かせている。サギソウは全国的に広く分布しており、千葉県でも各地の湿原に生育していたと聞く。 しかし、近年は湿原が水田に変わったり、埋め立てられるなどでサギソウの生育できる場所がほとんどな くなってしまった。ここ成東の湿原が千葉県で最後の自生地かも知れない。


●ツルリンドウ
ツルリンドウ 春先に雑木林を歩いていると、草や木にからみついたつるに美しい紅紫色の実がいくつもついているのを見つ けることがある。クリスマスツリーの赤い豆電球のようで、とてもかわいいものである。ツルリンドウは実は 目立つが花は地味である。リンドウのように鮮やかな青紫色にならず、淡いピンクで花も小さいためあまり人 目を引くことはない 。つる性であること、球果をつけることなど、リンドウ科の中では異色の存在である。こ の写真は数年前、清和県民の森の雑木林の中で見つけた花を写したものである。木洩れ日を受けてたった一輪 であるがしっかりと自己主張しているのに心を動かされた。先を歩いている仲間に多少の気兼ねをしたが、三 脚を立ててじっくり構えて写さずにはいられなかった。


●ワレモコウ
ワレモコウ 秋に高原を歩くとよく目立つのがこのワレモコウであるオミナエシなどといっしょに咲いているのをみかけるの で 、「秋の七草」に入っているように思われがちだが、この中には入っていない。千葉市ではもう見られないと 思っていたが、市原との境に近い道路腋で、まとまって赤紫色の球を空に向かって突き出しているのを見つけた。 あまり意識して写したわけではなかったが、斜光線であったため、球と茎の輪郭がくっきり出て、ワレモコウの かわいさ・美しさが際立ったように思っている。バラ科に属するが、しろうと目にはとうていバラの仲間とは思 えない。球のように見えるのが、よく見ると小さな花の集まりである。ワレモコウという名前があるが、「吾木 香」という説がある。しかし、この花を室内でスケッチした時、どちらかというと変な臭いがした記憶がある。 それで私は、「吾亦紅」の説を支持したいと、この写真を見てそう思った。


●ヤブツバキ
ヤブツバキ 毎月第2日曜日に行なわれる「昭和の森自然観察会」では、月毎にテーマを決めて実施しているが、今回は冬の寒 い中で咲いている赤い花を探そうということになった。アオキやゴンズイなど、赤い実をつけているものは歩き始 めて間もなく見つけることができたが、赤い花となるとなかなか見つからない。結局、解散予定のお花見広場でよ うやく、咲きかけたヤブツバキを見つけることができた。昨年2月に養老渓谷付近の尾根道を歩いたとき、山道に ぽつんと落ちている赤い花を見つけた。見上げると大きなヤブツバキの木がすぐ近くにあり、たくさん花を咲かせ ていた。やや傾いた冬の日を受けて透き通るような赤い色がすてきだった

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