アジア横断

国境を越えて

アラビア海で泳ぎ、ヒマラヤの氷河へ登り、55歳の男はイスタンブールをめざす

日が暮れはじめた。赤く溶ける夕陽が西のアラビア海に沈んでゆく。凪いだ洋上にに 残映が撒き散らされ、空が灰色を増しながら茜色に染まってゆく。

正面のインド洋に目を移すと、その上空はまだ夕暮れのほの暗さに覆われ、さらに転 じて東のベンガル湾を眺めれば、すでに空も海も夜の闇にひたされていた。夕焼けと、 日暮れと、夜とを同時に眺めているような、不思議に心の安らぐ情景だった。

(インド最南端コモリン岬の夕暮れより)

入沢英和 インドコモリン岬の著者
入沢英和(いりさわ ひでかず)
  • 1943年(昭和18年)新潟県生まれ。
  • 早稲田大学商学部卒業後、広告業界に入る。企画・制作部門に在籍。
  • 1998年12月末、55歳を機に広告会社を退社
  • 1999年2月、本書記載の旅に出る。
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